Light and Colour at LAX
はじめて降り立ったロサンジェルス国際空港。通称:LAX。
時刻は午後1時。
国際線からアメリカ国内線への乗り換え口に向かって歩く。
羽田から約10時間。大きな窓から差し込む真昼のカリフォルニアの光に私は優しく迎えられた。フライト疲れが、ふわっと軽くなるような、不思議な心地よさがあった。
外にはUFOのような建物。それはもう何年も行っていない、ディズニーランドのスペースマウンテンを彷彿とさせた。通路に映った自分の影。コントラストがあまりにも美しく、思わず写真を撮った。
トランジットタイムは約4時間。まずはコーヒーを買う。落ち着いて座れる場所を見つけ、腰を下ろした瞬間に、心地よさの謎が解けた。
Coffee Beanの紫がかったネイビーのスリーブ
その背景のデスクパネルの青いドット
待合スペースの椅子のティールブルー
澄んだ青空
待機するUnited航空の尾翼のネイビー
ウォーターボトルのパッケージのターコイズ
その全てに、カリフォルニアの眩しい光が降り注いでいる。
なんて美しいのだろう、と私は息をのんだ。
あたりを見回してみる。
サイネージのフォントは、Helveticaだろうか。スッキリと整った白い文字が背景の群青色によく映えていた。
ゴミ箱の色でさえも調和していた。
心地よさの正体は、このハーモニーだった。
コーヒーを飲みながら、ふと思った。
「ああ、考えてみれば、ここ数年、私は空港での体験を常にサービスデザイン的に観察し、分析してきたのかもしれない。」と。
私は普段、サービスデザイナーという肩書きで仕事をしているわけではない。それでも、サービスデザイン的な観察眼は、もはや自分の一部として埋め込まれているようなもの。空港にいる理由がビジネスであれ、プライベートであれ、そのスイッチを完全にオフにすることはなかったように思う。
サービスデザインにおいて、空港での顧客体験というのは、クラシックかつ、メジャーなテーマ。多くのケーススタディがあるし、各社が工夫を凝らしているのも知っている。
けれど、私がこの空港で感じた心地よさは、明らかにサービスデザインの視点で考え抜かれたものとは、別次元のものだった。
乗り換えが飛び抜けてスムーズだったわけではないし、サイネージがわかりやすかったわけでもない。他の空港では味わえなかった特別なサービスがあったわけでもない。
この空港の心地よさは、五感で感じる心地よさ。
色と光が生み出すハーモニー。
データを集め、数値化し、分析する。そして、そこから導き出された結果とインサイトに基づいて、体験を緻密にデザインする。そんな工程とは、全く別次元にあるもの。
そして、私は、自分が時代の潮流にうまく乗ることができなかった理由がわかった気がしたのだった。
私は、サービスデザインを収益を生む新しい道具だとも、旬を過ぎれば廃れることを前提に消費されていくものだとも捉えていなかった。だから、ビジネスの現場でサービスデザインを使うことに違和感を持ってしまったんだな、と思った。
私が大切に見つめているものは、マス向けのサービスには落とし込みにくいものなのだろう。きっと。
私は物事を、もっと美的に、哲学的に捉えているのだから。